長崎原子爆弾の被爆者の背中をケロイドが覆った。ケロイドは、瘢痕組織の上に成長する緻密な線維性の増殖である。1945年から1950年にかけて撮影された長崎原子爆弾の被爆者の背中を覆ったケロイドである(日時・場所等不詳)。
原子爆弾による被爆者の火傷や傷から、傷跡が厚くなってケロイドと呼称される腫瘍が発生した。爆心地から2km以内で熱線を浴びた人の約50~60%にケロイドが発生した。ケロイドは放射線と関係がある。ケロイドは被害者の心と体に永久的な傷跡を残した。特に顔にケロイドがある人は精神的にさらに苦しみ、背中や肩にケロイドがある人は肌を見せることを躊躇した。
ケロイドは、原爆被爆者の火傷した皮膚が治癒する過程で形成された、不規則で異常に突出した瘢痕組織である。瘢痕が蟹の甲羅や足のように見えることからこの名がついた。爆心地から約2km以内の被爆者に多く見られ、ケロイドは被爆4ヵ月後に形成され、その後6~14ヵ月後に最も目立つようになった。ほとんどの瘢痕は約2年後に縮小して治癒した。
太平洋戦争の末期となった1945年8月9日午前11時2分に、プルトニウムを核とする約21キロトンの爆縮型の原子爆弾であるファットマンが、長崎上空の約500mで炸裂した。推定7万人の長崎市民が死亡して、約6万人が負傷した。人口密度の高い九州西部の工業都市である長崎市の上空で炸裂した。長崎市は、取り囲む丘陵地帯により、原子爆弾の壊滅的な影響が広がるのを食い止めた。逆に、原子爆弾の破壊力を集中させ、爆心地に最も近い地域で原爆の威力をより強烈にした。長崎原子爆弾は爆心地から約914m以内にあった病院と医学部を消滅させた。爆心地から半径1.5km以内にいた人々は一瞬にして姿を消した。